【公共DX 事例紹介】官公庁業務システムの次世代化支援

長年の運用により老朽化が進んだ官公庁の基幹業務システム。クラウド基盤・AI活用といった最新技術の導入により、運用負荷やベンダーロックインといった課題の解消を目指した、次世代業務システム再構築プロジェクトが始動しました。

本事例では、PoCによるAI適用可否の検証を含む、官公庁DXの最前線をご紹介します。

背景・課題

業種:官公庁
規模:中~大規模省庁(部門横断)

官公庁における基幹業務システムはは構築から数十年が経過し、保守費用の増大やベンダーロックインといった課題が顕在化していました。さらに、各業務に関連するデータやアプリケーションが部門単位で散在・冗長化しており、全体最適の阻害要因となっていました。加えて、メインフレーム依存からの脱却や、技術進化を踏まえたクラウド基盤およびAI技術の活用も喫緊の課題として浮上していました。

  1. 老朽化した業務システムの刷新
    → 数十年利用されてきたレガシー環境が、保守コストや拡張性の制約となっていた。
  2. 部門ごとに縦割りとなったデータ構造
    → 業務ごとに分断されたシステム群により、全体最適を阻害する冗長性が顕在化していた。
  3. クラウド・AIへの非対応
    → 旧来の基盤では、新技術の活用に制約があり、モダナイゼーションが急務だった。
課題:レガシーシステム・データ分断・クラウド移行

グローシップ・パートナーズの支援内容

プロジェクトマネージャーとして、次世代業務システムの再構築に向けたプロジェクトを推進しました。
特に、統合するデータベースのデータ活用の一環として、AI技術を業務支援へ適用する取り組みを担当し、リクエストベースで100件近くあった案件からの選定、PoC(概念実証)を通じて業務で有効に機能するかを評価し、実運用への移行可否を検証しました。
また、プロジェクト全体の進捗管理や、業務部門・ITベンダー・関係官庁との密な連携調整も担いました。
多数の関係者が関与する官公庁横断プロジェクトであったため、ベンダーとの利害調整や関係部署の合意形成には困難も伴いましたが、段階的に課題を解消しながら前進させました。

支援項目内容
1.業務選定業務100件の候補からAI適用可能な対象をヒアリングし選定
2.概念実証:PoC実施選定された対象に対して有効性検証
3.進捗管理業務部門・IT・ベンダー・関係機関間での調整と進行管理
4.関係調整多数関係者との利害調整を進めるファシリテーションと共通言語化

結果

PoCを経てAI活用の有効性が確認され、一部業務においてAI支援機能を正式に導入する運用へと移行。

複雑な調整や関係者の意見集約に苦労しつつも、最終的には次世代業務システムの一部として所定のタイミングでリリースに至りました。これにより、将来的な運用負荷の軽減や、保守性の向上とともに、業務の効率化に向けた基盤整備が実現しました。

正式導入されたAI支援機能・運用効率化と保守性の向上

担当コンサルタントの声

制度対応の複雑性と関係者の多さゆえ、単なるPMでは推進が難しいとされる本プロジェクト。
私たちは「技術と業務をつなぐ橋渡し役」として、現場と対話を重ねながら、実行可能なアプローチを丁寧に設計・実行しました。

特にPoCフェーズでは、単なるAI活用の試行にとどまらず、実運用に耐えうる要件設計を重視。
また、業務部門・情報システム部門・開発ベンダーという三者間に立ち、技術的知見と業務理解をもとに翻訳者・調整役としての機能を果たしました。

最後までやりきる姿勢と、信頼関係を築くコミュニケーションを大切にしながら、
本番移行まで一貫した体制でご支援できたことが、今回の成功の要因だと感じています。

  1. 「技術と業務の橋渡し」を徹底し、実運用可能なPoCを推進
  2. 三者間(業務・情報システム・ベンダー)の利害調整における翻訳者として機能
  3. 信頼を築くコミュニケーションと、最後までやりきる姿勢で推進力を提供


官公庁や公共機関における業務システムの刷新や、AI・クラウド活用を見据えたDX推進においても、制度・業務・ITの三軸を理解したコンサルタントが伴走支援いたします。


担当コンサルタント


T . M (マネージャー)

官公庁の大規模システム刷新プロジェクトでは、AI領域のPM/PMOとしてプロジェクト計画からフェーズ評価、ローンチまでを統括。関係者1000名超の複雑な体制下でも期待値調整と安定稼働を実現。
民間企業では、不動産クラウドファンディングシステム導入の要件定義~保守運用までを一気通貫で支援するなど、幅広い経験を持つ。

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