【2025年最新版】系統用蓄電池ビジネスの収益を最大化する3つの戦略とは?

1.JEPX vs 需給調整市場:どちらを主軸にするか?

JEPXでは電力市場価格が時間帯により大きく変動し、特に太陽光発電が活発な昼間は価格が下がる傾向にあります。一方、需給調整市場は2つの収益源があり、「ΔkW収入(スタンバイ報酬)」と「kWh収入(放電報酬)」の2本柱が特徴です。
特にΔkW収入は、実際に放電しなくても得られる点がメリットです。これは蓄電池を持つ企業にとって、安定的な収益を確保できる魅力的な選択肢となります。

2.需給調整市場の商品選定が収益を左右する

需給調整市場には以下の5つの商品が存在します。

  • 一次調整力
  • 二次調整力①
  • 二次調整力②
  • 三次調整力①
  • 三次調整力 ②

再生可能エネルギーによる発電量や電力需要の計画乖離に応じて、一般送配電事業者は三次→二次→一次の順に、応動時間の異なる調整力で需給バランスを調整します。

▼需給調整市場についての詳細を知りたい方はこちら▼

需給調整市場とは?

応動時間と約定価格の関係

応動時間が短い商品ほど、高い応答性能が求められます。蓄電池はこれに最適な電源であり、一次・二次調整力では理論上、高い約定価格がつきやすくなっています。特に、秒単位で対応が求められる一次調整力は、他の電源が対応しにくいため、蓄電池にとって優位な市場です。

しかし市場が完全に成熟していない今、一次・二次では応札量が不足しており、三次調整力②の約定価格が高騰しています。応札価格の決定要素として「未達率(※)」や「指令の頻度(※)」も重要であり、今後の市場動向を継続的にウォッチする必要があります。

3.時間をどう使うかが勝負の分かれ目

主軸となる市場と取扱商品を決めたら、次はどのコマあるいはブロックで調達、売電するかを決めていきます。それには約定価格や未達率、どの時間帯に多く調整力指令が来るかといった視点を組み合わせて判断をしていきます。

JEPXは30分×48コマ、需給調整市場は3時間×8ブロック

1日の電力取引は、JEPXでは48コマ、需給調整市場では8ブロックに分かれます。
JEPXにおいては、太陽光の発電が活発な朝~昼の時間帯(例:9~14時)に価格が極端に低下する傾向にあり、0.01円/kWhという最低価格での約定も珍しくありません。これを活かして「安く仕入れる」戦略を立てましょう。
また、需給調整市場では、電力需要が多い6~18時(3~6ブロック)に調整指令が集中し、未達率・約定価格ともに高くなる傾向が見られます。

番外編:自社で運用するか、アグリゲーターに委託するか?

実務経験のない企業は「外部委託」も有力な選択肢

金融機関や物流、小売・自治体など電力ビジネスに不慣れな企業は、アグリゲーターと呼ばれる専門業者に電力市場取引など日々の業務を委託するケースが増えています。需給管理業務や市場入札のノウハウがなくても、プロに市場取引を委託することで、安定的な収益が期待できます。
実際に、電力ビジネスの実務経験のない事業者からは、以下のような声があります。

系統用蓄電池ビジネスは、FITやFIPとはまるで違う収益構造だ。調達価格や売電価格が変動するだけでなく、需給調整市場のペナルティーが利益を圧迫する可能性もあるという。
電力取引のプロであるアグリゲーターに全て任せることにし、自社で深く踏み込まない方針だ。

金融機関

系統用蓄電池ビジネスは、そもそも蓄電池自体の価格差が大きく、太陽光発電ビジネスと大きく異なる。設備の初期費用、調達価格、売電先、売電価格も全て異なるビジネスだ。補助金を獲得することに加え、アグリゲーターに運用を代行してもらう事業計画を作り、ようやく自社の稟議を通すことができた。

流通小売事業者

系統用蓄電池ビジネスの収益最大化は戦略次第

「系統用蓄電池ビジネス」は、電力の価格変動や市場構造を理解し、適切に戦略を立てることで、確実な収益を狙える分野です。

  • JEPXと需給調整市場のどちらを主軸にするかを選定
  • 応動時間・約定価格・未達率を見極めて商品を選ぶ
  • 1日の取引タイミングを綿密に設計する


さらに、必要に応じてアグリゲーターの活用も視野に入れ、柔軟に収益モデルを組み立てることが成功の鍵です。


  • 自社で算出している収益モデルは本当に現実的なのだろうか?
  • 10億円規模の投資なので事前にリスクをしっかり洗い出したいが、網羅できているか不安…
  • 運用はアグリゲーターに任せたいが、どうやって選べばよいのか…?


——————上記のようなお悩みはありませんか?

系統用蓄電池ビジネスは始まったばかりで事例も少なく、慎重な検討が欠かせません。
私たちGrowShipは、“本当にこれでいいのか?”という不安に答える、リスク診断を行います。

導入前の不安や疑問、ぜひお気軽にご相談ください。

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